Home Robot Group
研究背景

  近年、核家族化や少子高齢化などによる家事の負担増加も理由となって、ロボットには産業用途だけではなく人間の家庭環境において人々を支援することが期待されています。しかし、Fig. 1に示すように、現在市販されているホームロボットは、掃除や草刈りのみといった単一の機能しか有しておらず、逆に汎用的な機能を持つロボットは、いまだ研究段階にあり早期の実用化は困難です。ロボットのさらなる利用を促進するためには、低価格で、複数の家庭内作業を実現可能な新たなホームロボットを開発することが重要です。
Fig. 1 Background of home robots.

研究目的

 私たちは、有用性を失わない範囲において作業環境・対象・条件の限定と必要最低限の住環境への機能追加を許すことで、「付加価値のある複数の家庭内作業の実現」、「ユーザに適したシステム構成の選択」、「現実的な価格」の三つを実現する新しいホームロボットシステムの概念であるMMMコンセプトを提案します。MMMコンセプトでは、汎用性に優れる高機能なロボット自体がユーザとのインタラクションをすべて行うのではなく、ロボットショップがユーザとロボットを仲介し、ユーザの要求とロボットの特性を専門的観点から判断し調和させます。このように、ロボットを身近で実用的なものとして早期に普及させ、人を支援することを目的としています。
  • Multitask ・・・ 付加価値の高い複数の家庭内作業を実現
    -->作業の限定と環境の設定を明確化することで、複数の作業能力を獲得させ、単一機能のロボットよりも汎用性を持たせる。
  • Modularization ・・・ ユーザに適したシステム構成を選択可能
    -->機能単位でロボットをモジュール化し、適切にシステム要素を組み合せることで、異なる作業環境や作業要求に対応する。
  • Minimalization ・・・ ホームロボットとして普及する低価格を実現
    -->多機能性・汎用性を必要以上に求めない最小限のシステム構成を実現し、有用性を損なわずにユーザの要求を満たす。
Fig. 2 Market model for home robots based on MMM concept.

研究内容

現在は、MMMコンセプトを基に以下の作業環境・対象・条件を設定し、ロボットの基本要素モジュールを決定、プロトタイプを開発し、それを用いた家庭内作業の実現を課題としています。

  • Invisible robot ・・・ ロボットがユーザの外出時や就寝時に動作することで、接触や衝突の危険性と時間制約を軽減
  • 1フロアで構成される都市型住宅環境 ・・・ マンションのように大きな段差や障害物がない生活環境を想定
  • GUIを用いて大域環境情報を取得 ・・・ 間取り、家具などの静的生活用品の大まかな位置情報をユーザが事前入力
  • 距離センサを用いて局所環境情報を取得 ・・・ 食器や本などの動的生活用品の大まかな位置情報をロボットが自律取得
  • ロボット補助装置の利用 ・・・ 壁面やキッチンなどにおいてロボットを補助する周辺機器や作業道具を事前に必要最小限で配置

上記の課題を解決するために、私たちは以下の研究内容に取り組んでいます。

  1. モジュール化されたホームロボットシステムの開発
    MMMコンセプトの実現には、適切なモジュール構成の提案を行うために、タスクと環境の制約を分析する必要があります。現時点では、明確な分析手法を確立していませんが、Table 1に示すようにタスクと環境の制約を分析することで、Table 2に示すような、モジュール構成を提案できるものと考えています。現在は、「アームモジュール」、「移動モジュール」、「ハンドモジュール」、「センサモジュール」の四つを基本モジュールと決定し、それらの開発を進めています。Fig. 3に開発したプロトタイプのホームロボットを示しました。
  2. 自律移動機構を有するアームモジュール(SymmArm)
    MMMコンセプトの要となるアームモジュールは、ベースと手先を区別しない対称構成とし、アーム単体での自律移動を可能としました。Fig. 4のように、移動モジュール上からは届かない高所での作業や、ロボットへの反動を考慮しなければならない力作業において、壁面などに埋め込まれた固定用装置を利用して移動し、作業を達成します。また、このアームモジュールは、それ自体が複数のモータモジュールからなり、用途に合わせてその自由度構成を変更することも可能です。関連動画にアームモジュールの自律移動の様子を示しました。
Table 1 Constraint-Induced modular configurations.
Table 2 Modular configurations and functional capabilities.
Fig. 3 Prototype of the home robot.


Fig. 4 Book handing task in the high shelf by utilizing the arm, SymmArm.


関連動画

  1. GUI(Graphical User Interface)による移動ベースの操作
    ユーザがあらかじめ移動させたい経路を視覚的に設定することによって、ロボットを自由に移動させることが可能。
  2. SymmArmによるコーヒーカップとトーストホルダの把持動作
    机とコーヒーメーカ、トースタの位置検出動作をあらかじめ設定。机の位置が求められたら、移動ベースの移動誤差を修正した動作を自動で生成して作業を行う。
  3. アームモジュールによる自律移動
    アームモジュールがベースと手先を入れ替えながら、固定用補助装置上を自律移動。